■流された光 流された光は、何処へゆくのか。 何を思い、何を信じ、 何を残して消えてゆくのか。 混沌の闇に漂い、 ただほのかに輝くだけのかすかな命。 雨が降り、水が増える毎に、 ひとつ、ふたつ、またひとつ、 か弱き光が消えてゆく。 流された光は、何処へゆくのか。 何を思い、何を信じ、 何を残して消えてゆくのか。 “河川敷の舗装工事” …見た目の美しさだけを追求した人間のエゴ。 草むらの下で息づく幾多の幼き命は、 己自身が美しく輝き、 空をも飛べる事すら知らぬまま、 無機質なアスファルトによって埋め立てられ、 静かにその生涯を閉じる。 輝けなかった光は、何処へゆくのか。 何を感じ、何を痛み、 何を憂いて消えてゆくのか。 …かつてこの夜空一帯を彩っていた、 美しき天然のネオンサイン。 田舎の町が過疎によって、 徐々にさびれていくように、 ひとつ、ふたつ、またひとつ、 蛍が夜に溶けてゆく。 ネオンサインが消えてゆく。 流された光は、何処へゆくのか。 何を思い、何を信じ、 何を残して消えてゆくのか。 流された光は… | ![]() |