■One and only 「おーい」 「寝てるの?」 鮮やかに咲き誇る菜ノ花の中で、 静かに大の字になっている彼を覗きこんだ。 返事はない。 ――どっちかな? 気づかれないように近づいて、そっと口づけてみた。 不意にふわりと抱き寄せられ、 キスが熱く、深くなる。 軽いめまいを感じながら、わたしはゆっくり目を閉じた。 …時が止まる。全ての憂いが溶けてゆく。 「やっぱりウソ寝だったのね」 「あ、バレた?」 暖かい腕に包まれたまま、彼と一緒に空を眺める。 ――ここは天空から神々が舞い降りる、 花に囲まれた常春の大陸。 わたしはこの地を訪れるたび、 とても優しい気持ちになる。 …切ないくらい、あなたが好きになってゆく。 素直な感情を、ありのままに受け止めて。 「…なあ」 「ん?」 「ずっと一緒にいような」 「…うん」 ――You are one and only. Please stay with me forever. ....forever. | ![]() |